アルツハイマーだと診断をされている方の公正証書遺言作成について
◯事案の概要
遺言者はアルツハイマーと診断され、施設に入所している。遺言者に会って話をしたところ、判断能力は問題ないように思われた。しかし公証役場では若干違うことを話し始めた
◯相談内容
アルツハイマーだと診断をされている方の公正証書遺言作成についてご相談です。
遺言者の甥(遺言者の兄の子、兄はすでに死亡)から依頼を受けて遺言を作成することになりました。遺言者のご主人はすでに亡くなられていて、子供もいません。ご主人が亡くなってからずっと一人暮らしをしていましたが、アルツハイマーだと診断されて、住所を甥の家に移し、現在は施設に入っています。
初回は甥と甥の父(=遺言者の兄の夫)が当事務所に来所され打合せを行いました。アルツハイマーであると診断を受けていて、家庭裁判所に保佐人選任の申し立てを行っている最中で、保佐人には甥の妻がなると聞いていました。
その後、2回目に実際に遺言者にお会いして遺言者に話をしたところ、遺言の内容も甥と甥の父に半分ずつ渡すという内容で間違いないとおっしゃいました。
公証人にもアルツハイマーである旨を伝えたうえで案文作成を進めていたのですが、後日甥から連絡があり、家庭裁判所との最終の打合せの時に、お金の管理も自分でできるので、家庭裁判所との話し合いで今回は保佐人をつけないということになったと連絡があり、判断能力がしっかりしていると私も安心しきっていました。(保佐人の件についても公証人には全て話していました)
その約2週間後、公証役場で遺言書を作成する当日に、公証人が遺言者に「お亡くなりになった後、財産は誰に譲りたいですか?」と聞いたところ「そんなこと考えたことないからわからない」とか、「(亡くなった)兄の家族に渡したい」など、遺言書の内容とは若干違うこと話したため、公証人も「今日は遺言書の作成はできないので、延期にしましょう」となりました。
その日のうちに甥から連絡があり、遺言者も高齢で、公証役場という慣れない場所で、知らない人(公証人)に色々と質問されて混乱して、財産を渡したい人の名前がとっさに出てこなかったと話していました。
公証人が遺言者にした質問は
- お名前は何とお読みするんですか?
- 何歳ですか?
- お誕生日はいつですか?
- 住所は?
など、言ってみれば基本的な質問ばかりでした。特に難しい質問はなかったように感じます。
ただ、住所については甥の家に移したばかりで、実際施設で暮らしているので答えられなくても仕方がないかな、というところです。
実は、以前お世話になっていた公証人が定年退職されて、新しい公証人になってから初めての遺言書でした。これまでの公証人は、案文を読みながらこれでよろしいですか、間違いありませんかという聞き方でした。恐らく以前の公証人のような聞き方だったら、遺言書はその場で完成していたと思います。
菰田先生は、認知症の方の遺言書を作成する時、どのような質問をしたり、どのように意思確認をされていますでしょうか。認知症の方の遺言書作成時に特に気をつけていることなどありましたらご教示いただけませんでしょうか。
