懲戒処分(減給の制裁)の時効について
◯事案の概要
懲戒処分を受けてすぐに休職に入った従業員について、一定期間の休職期間を終えて復職したときに、減給を実施したいと考えている。仮に休職期間が延長されて数年に及んだ場合でも、懲戒処分時に決定された「減給の制裁」の処分を実行して問題ないか
◯相談内容
懲戒処分の決定直後から休職に入った社員に対しては、支払う賃金がないために「減給のやりようがない」というご回答を以前いただきました。
一方で、会社としては、一定期間の休職期間を終えて無事に復職し賃金の支払いが始まったときに、減給(平均賃金の1日の半額)を実施したいと考えております。復職したときに減給を実施するのは問題ないと考えますがいかがでしょうか?
根拠としては、懲戒処分について、消滅時効期間を定める法令は存在しないため。なお、労基法第115条の時効の規定は、あくまでも賃金、災害補償その他の請求権について定めたものであり、懲戒処分には当てはまらない。
よって、仮に、休職期間が延長されて3年になった場合でも、その後復職し賃金が支払われる状況になれば、その時点で、3年前に決定された「減給の制裁」の処分を実行するのは問題ないと考えました。
ただし、懲戒処分は労働契約に付随するものである以上、民法の基本原則を
無視できないとの考えも大事かと。
(基本原則)第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
つまり、いくら会社に懲戒処分の権利があるからといって、ずいぶん前の事実について懲戒処分を実行することは不誠実でもあり、権利の濫用ともなりうるのではと考えました。
ただ、今回の減給の制裁は、
・会社としては懲戒処分(減給の制裁)は決定した
・ただし、給与の支払いがなかったので、減給自体は猶予された状態のままであった
・休職から復職したので、その猶予が解かれて、復職後の最初の給与で減給した
ということからすると、結局のところ時効は気にせず復職後の給与で減給は実施できる、と結論づけましたがいかがでしょうか?
