従業員が退職代行サービスを利用して退職を申し入れてきた
◯事案の概要
従業員が弁護士を通じて退職の申し入れをしてきた。おそらく退職代行サービスを利用し、競合他社から人材を引き抜かれたと考えられるが、退職する従業員に対して交渉の余地があるか、また競業避止義務規定を設けることで何らかの抑止力を働かせることができるか
◯相談内容
「競業避止義務」および退職後の「企業秘密の保持」についてご意見をいただけないでしょうか。
先日顧問先にて、社員が弁護士を代理人にして退職の申し入れをしてきました。
要求事項としては、退職日まで残っている有給休暇を消化したいということと退職金を支払ってほしいという程度だったようです。しかし重要なお客様を担当していた社員だったので、引継ぎもなく突然の退職で、現場としては非常に困ったとのことです。
後から分かったことですが、退職の原因は競合企業からの引き抜きだったようです。最近話題の「退職代行サービス」を利用したのではないかと思います。若手社員で、育成コストも十分にかけ、ようやく独り立ちした人材を、複数人同様の方法で引き抜かれたそうです。
人材の流出防止対策としては企業自体の魅力を高める根本的な取り組みが必要であることは重々承知しておりますが、目先の対策として、以下の件につきましてご意見をいただけないでしょうか?
① 弁護士による代理人との交渉余地について
有給消化を認めない、退職を認めない、ということは難しいかと思いますが、せめて現場との引継ぎで数日は出社して欲しいということは交渉可能でしょうか。
② 競業避止義規定について
退職後1年以内は競合関係にある企業への就職や会社設立等を禁止する「競業避止義務規定」を作る場合がありますが、実際に上記のような引き抜きにあった場合、これを盾に具体的にこちらが要求できることはありますでしょうか?
例えば、
1.退職自体を認めない
2.懲戒処分として、退職金を減額する
3.会社に損害を及ぼしたとして、損害賠償請求する
などはいずれも難しいように思いますので、競業避止義務規定を設けてもあくまで抑止的な効果しか期待できないでしょうか?
③ 秘密保持に関する誓約書について
競合他社への転職を完全に防ぐことは難しいかと思いますが、せめて企業秘密、営業秘密の保持については、誓約書を書いてもらうことはどうでしょうか?
顧客リストを持ち出す、製品の開発情報を持ち出す、など分かりやすい不正行為ならまだしも、在職中に接点のあった顧客(人脈)にアクセスする、(頭の中に入っている)営業秘密に関する情報を利用する、などは完全に防ぐことは難しいように思います。こちらも、あくまで抑止的効果しか期待できない、と考えたほうがいいでしょうか?
