遺言執行者が選任された遺言があるとき、遺産分割協議書ができるのか

◯事案の概要

被相続人Xは配偶者も子供もいないため、自身の遺産全てを換価処分し、慈善団体や公益法人等に計30%、相続人である兄Aに30%、弟Bに20%、第三者である甲と乙にそれぞれ10%ずつを遺贈する旨の公正証書遺言を数年前に残し、同遺言内で遺言執行者としてYを選任した。昨年末、Xが死亡し、遺言執行者Yが就任した。なお、Xの法定相続人はA、B、C、Dの4名であるが、C、Dは代襲相続人のためXとはほとんど面識がない

◯相談内容

①遺産分割協議の可否について

Xの遺産の中にXとAが2分の1ずつ共有する土地が存在していることが判明しました。現実的には当該共有持分を第三者に売却処分することは難しいでしょうから、遺言執行者Yが共有者であるAに対して事前に当該共有持分の買取の可能性を尋ねたところ、買取の意思はないということでした。

そこで遺言執行者Yから、このままだとXの財産の換価処分が進まないため、法定相続人全員による遺産分割協議を行い、2分の1の土地についてはAが取得できるようにする余地はないのかという相談を受けました。

当方の回答としては、遺言執行者が選任された遺言においては、相続人の処分行為は無効で、原則として遺産分割協議をする余地はないとするのが判例の考え方であり、受遺者全員が遺贈を放棄した場合等を除けば遺産分割協議はできないと考えるべきだと伝えました。

遺言執行者が選任されているにも関わらず、遺言執行者の遺産分割協議への同意を肯定した事例というのも地裁判決(東京地裁昭和63年5月31日)ではあるようです。

しかしその場合でも、①相続人全員の同意、②利害関係人の合意、③遺言の趣旨を没却するものではないことを条件に掲げていることを考えると、今回のように相続人以外の者に積極的に遺贈を行うケースで、被相続人の遺言内容の実現を図るために選任されたはずの遺言執行者が、一部の相続人の意向に沿った遺産分割に協力することは問題があると考えます。菰田先生はどのように思われますか?

②当該共有土地の売却処分が進まない場合の対応について

①のとおり、Aが当該土地の共有持分の買取に応じない場合に、当該共有持分を格安で第三者に売却するというは現実的ではないように思います。また、実際にそんなことをした場合には、遺言執行者YとAとの間で訴訟が起こるのではないかと思います。

Xの遺産は共有土地以外にも不動産や預金等がありますので、直ちに共有土地の売却がすすまない場合には、共有土地以外の遺産の換価処分を先に進め、共有土地以外の財産の換価金を遺言内容に沿って分配するしかなく、結果的に共有土地を換価処分できなかったとしても遺言執行者の責任問題にはならないと思います。

この点について、どのように考えたらよろしいでしょうか?(色々考えたのですが、共有者のAが購入に応じてくれなかった場合に、どんな手段が取り得るのかどうしても思いつきませんでした。)

◯菰田弁護士の回答

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