事業年度末日から3ヶ月経過後に開催した株主総会について
◯事案の概要
定款で「定時株主総会は、毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集する」と定めている会社において、3ヶ月以内に定時総会を招集できなかった。この場合、定時株主総会の基準日公告は必須となるか。また、3ヶ月経過後に開催された株主総会は定時総会と考えるべきか、それとも臨時株主総会と考えるべきか
◯相談内容
甲株式会社の定款には以下の事項が定められています。
- (基準日)毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする
- 当会社の定時株主総会は、毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集し、臨時株主総会は、必要に応じて招集する
しかし事業年度末日から3ヶ月以内に定時総会を招集することができなかったため、X月末日の株主総会で計算書類の承認及び募集株式の発行決議を行いました。
①事業年度末日から3ヶ月を経過して開催された定時株主総会の基準日公告は必須でしょうか?
法務省の見解によれば、会社法第296条第1項は、「定時株主総会は毎事業年度一定時期に開催しなければならないものの、事業年度の終了後3ヶ月以内に必ず定時総会を招集しなければならないものではなく、基準日株主が行使できる権利は3ヶ月以内に行使できるものに限るため、3ヶ月経過後に開催される株主総会において基準日を定める場合には、あらためて基準日公告が必要だ」とあります。(法務省「定時株主総会の開催時期について」参照)
11月末日に開催された株主総会においては、定款に定められた基準日の規定を適用することができないため、本総会における議決権行使できる株主の基準日を設けるためにはあらためて基準日公告が必要となります。
しかし、会社法において基準日を設けるかどうかは任意であり(会社法124条第1項)、基準日公告をすることなく、株主総会の招集通知によって出席した者を議決権行使できる株主として取り扱うことは問題ないと考えますが、いかがでしょうか?
②事業年度末日から3ヶ月経過後に開催された株主総会は、定時総会と考えるべきか、臨時株主総会と考えるべきか
①の質問と関連する事項でもありますが、そもそも事業年度末日から3ヶ月を経過した株主総会で、計算書類の承認と募集株式の発行決議を行っている場合には、本総会は定時総会と考えるべきなのでしょうか。それとも臨時株主総会と考えるべきなのでしょうか?
もし定時株主総会であると定義した場合、①の法務省の見解はあるものの、従来からの登記実務においては、商業登記法第25条第1項を理由として、定款に定められた基準日から3ヶ月を経過した定時株主総会は、株主総会の招集手続が定款に違反することになり、株主総会の取消事由となります(会社法第831条第1項第1号)。
そのため、登記の申請は株主総会の決議の日から3ヶ月を経過しないと受理されないという問題があります。(今回でいうと募集株式の発行の登記に影響がある可能性があります。)
一方で、以前東芝が事業年度末日から3ヶ月以内に計算書類の報告をできなかったケースでは、3ヶ月以内に定時総会を開催し、3ヶ月経過後の臨時総会で計算書類の報告を行っております。
11月末日の株主総会は、定時総会ではなく臨時総会として定義することができるのであれば、募集株式の発行に係る決議は何の問題もなく登記申請ができると考えております。
その場合には、計算書類の承認議案は登記に関係のない事項なので、議事録には記載しないで申請を考えております。
