金融機関の従業員が顧客の虚偽行為を告発した場合、従業員に法的責任を問えるか
◯事案の概要
住宅ローンを申し込むときに虚偽の所得申告をしていたため、住宅ローンの実行時にストップがかかった。虚偽の所得申告を暴露した元従業員に何らかの責任を負わせることは可能か
◯相談内容
住宅ローンの不正申込みをした法人代表者の個人情報の保護に関する質問です。事案としては下記の通りです。
- 10月、住宅ローンの承認
- 翌年2月 土地先行取得(つなぎ融資)
- 9月 建物完成 住宅ローンの実行
という予定だったのですが、9月の実行時にフラットの元である住宅金融支援機構から実行にストップがかかりました。理由としては、10月に申込した内容に虚偽があるということでした。虚偽自体は事実としてありましたので代表者本人としても認めています。
詳しい内容については差し控えますが、前年所得に比べて申込み途中では経過途中であった当年の所得が実際は大きく所得を下げていたのを、虚偽の報告で前年と同程度の所得であると申告していました。経過途中だったため、公的書類が不要なので、虚偽の給料明細等を提出したという内容です。
注文建築だったため、土地を先行取得して建物を建て始めたので1年半ほどの時間がかかり、建物完成引渡しの際に追加書類を求められて虚偽が発覚しました。
追加書類提出について、会社の従業員が住宅金融支援機構に不正を告発する目的で代表者の当年度の確定申告書を提示したのが原因だったと発覚しました。告発した従業員は退職済です。この元従業員を何らかの不法行為に問えるかとの相談です。
証拠書類の入手方法については不法に入手したものではありません。例えば、この確定申告書をブログなどで面白半分に公衆にさらしたときは、個人情報保護、プライバシーの侵害などで不法行為を問える可能性はあると思えます。
しかし不法行為を告発する目的で特定の利害関係人に、今回で言えば騙された住宅金融支援機構に提示することは、公益の観点からも不法行為が成立しないと思われます。そのため、この元従業員には法的責任は問えないと考えますが如何でしょうか。
