機密手当と自主的な休日出勤について
◯事案の概要
以前に退職者が類似の会社を作ってお客様を持って行ってしまったために、「競業避止規則」を作っており、機密手当が支給されているが、企業秘密に関わっているが支払われていない者もいる。
◯相談内容
機密手当と自主的な休日出勤について相談があります。
①機密手当について
ある会社の機密手当についてです。以前に退職者が類似の会社を作ってお客様を持って行ってしまったために、「競業避止規則」を作っています。
競業避止義務として、在職中と退職後1年間、会社の許可なく同じ営業エリア内の競業他社に就職すること、会社を作ること、顧客を収奪すること、従業員の引き抜きを行うことを禁止する規定があります。代替措置として、守秘義務手当が支給されています。
また、入社時に別途秘密保持契約を結んでいます。しかし、規則を作成した頃の一部の者にしか支払われておらず、企業秘密に関わっているが支払われていない者もいます。会社は、就業規則を作成した当時の社労士さんに言われるまま作っており、分からない手当を増やすより給与に入れたいとの相談がありました。
〇機密手当の意義について
1.裁判になった時の「代償措置」
退職後の競業禁止義務を定める特約について
「従業員の再就職を妨げその生計の手段を制約してその生活を困難にするおそれがあるとともに、職業選択の自由に制約を課すものであるところ、一般に労働者はその立場上使用者の要求を受け入れてこのような特約を締結せざるを得ない状況にあることを鑑みると、このような特約は、これによって守られるべき使用者の利益、これによって生じる従業員の不利益の内容及び程度並びに代償措置の有無及びその内容等を総合考慮し、その制限が必要かつ合理的な範囲を超える場合には、公序良俗に反し無効であると解するのが相当である(新日本科学事件:大阪地裁平15.1.22)」
によるものかと思います。
2.従業員へのプレッシャー
「1.」についてですが、そもそも「機密」として管理されているか、会社へ与える影響、従業員に与える不利益等が総合判断されるため、一要素でしかないかと思います。また、社長の人柄から見ると、裁判まで起こす感じではありません。
「2.」についてですが、従業員が機密手当をもらっているという認識があるのかが不明です。機密手当があることをしっかり認識してもらわなければ、意味がないと思います。
以上より、
- 機密手当の有無に関係なく、競業避止義務に関する契約は法的には有効。
- 退職後の競業避止義務について、機密手当は裁判になった時考慮される一要素であり、無いよりかはあった方が良い。
- ただし、他の要素も絡んでくるため、損害賠償請求等が認められるかは個別の判断になる。
ということでよろしいでしょうか?この上で、手当をなくすかどうか会社の判断に任せたいと思います。
〇機密手当の支払いについて
規定にある以上、企業秘密に関わる者全員に支払う必要があり、逆に考えると支払われていない者は義務を負わないと思うのですが、いかがでしょうか?
〇「賃金・給与」について
直接は「労働の対償」ではありませんが、労働をしているからこそ発生する義務ということでは「賃金・給与」に当たり、雇用保険、社会保険の「賃金・給与」に含まれるという理解で宜しいでしょうか?(適用除外に当てはまるとは考えられませんでした)
②自主的な休日出勤について
従業員20名弱の創業者が社長を行っている会社です。社長の右腕のような従業員が、勤務時間を勝手な都合で変動させて困っているという相談を受けました。
帰宅時間が遅くなると、翌日遅く出社し、仕事が残ると休日に2~3時間だけ出社するようです。会社の規定では、時間外・休日ともに会社の許可が必要であり、他の従業員には遵守されています。
〇休日出勤について
- 法定休日であれば、35%増の休日手当が必要。
- 法定休日外であれば、休日手当は不要。
- 労働時間として通常賃金の支払いが必要。
- 時間外になれば25%増の時間外手当が必要。
〇会社に対するアドバイス
- まずは時間外・休日出勤の許可制を徹底させる
- 1か月単位の変形労働時間制を採用する。(あらかじめ、忙しい日が決まっているため、変形労働時間制によりフレキシブルにシフトが組めるかと思います)
長文で大変申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。
