会社が未払い賃金を払う際の算定方法と合意書の内容について
◯事案の概要
数年前から事業場外みなしを導入している会社にて、実質管理がずさんになっていたため社内改革に取りかかることにした。未払残業代も生じていたが出勤簿からは正確な計算が難しいため、1日○時間分の残業代を2年さかのぼって払うという対応を取りたいと考えている
◯相談内容
あるクライアントで、数年前から事業場外みなしを導入しました。みなし制度の導入手続き・協定書など整ってはいるのですが、実態が伴っていません。また、実質残業代が未払となっています。
今回、従業員の申告により労基署から是正勧告・指導書が出たことを受け、この機会に事業場外みなしを廃止し、勤怠管理も改め、賃金体系、就業規則の変更まで大がかりな社内改革を行うことになりました。
そんな中、未払い残業代の請求リスクについては経営陣の中でも意見が割れている状況です。(実際に未払請求があったわけではありません)そこで持ち上がった対応策が、全員一律に1日○時間分の残業代を2年さかのぼって払うという案です。
そこでご相談ですが、未払残業代をザックリとした算定のもと、自主的に2年分を支払うというのはいかがでしょう?前述の通り出勤簿は信頼性にかけ、会社で実態調査はできないとの判断です。ある意味、面倒だから全員一律という発想です。このような支払い方に問題はないのでしょうか?
また、全員一律の未払い残業代支払いによって、今後の請求リスクを排除することは可能でしょうか?合意文書でリスクを排除するためには、労働者が「未払い賃金を放棄する」趣旨になると思いますが、問題は出るでしょうか?
本来は一律支給でなく、従業員から個別に残業時間の申告漏れを提出してもらい、その申告が妥当であれば合意をもって未払い残業代を支払うべきだと考えます。その際に「未申告の時間外労働はない」という文言を入れた確認書をとってリスクを回避します。
大変ではあるものの、実態調査を省いては不合理ですし、公序に反するのではと考えます。今回の経営者は、全員一律に支払うことが平等だと考えていますが、ここにも違和感があり、賃金の未払いについて、全社一律では法に反するのではと考えます。
