相続放棄と財産の処分について
◯事案の概要
相続放棄をする前に、葬儀費用として被相続人の口座から現金を引き出したが、これは相続財産の処分に当たらないか。また、被相続人が生前住んでいた物件を明け渡す際に家財を処分したが、これは相続放棄に影響しないか
◯相談内容
今回は甲及び乙の相続放棄に関する事項としてご相談させてください。(亡父Aの相続放棄をしようとしている長男甲と次男乙の事例です)
①葬儀費用の支払いは相続財産の処分に該当しないと考えてよいか
亡Aの葬儀費用として、喪主を務めた乙が金200万円程度をAの口座から引き出し、Aの葬儀費用に充てております。
大阪高裁の裁判例等によれば、相続財産の処分には該当しないというものもあり、社会通念上相当な金額であれば相続財産の処分には該当せず、乙が相続放棄をした場合でも葬儀費用として引き出した分を戻す必要はない(甲や乙が別途負担する必要はない)と考えますがいかがでしょうか?
②動産の処分について
Aは賃貸物件に住んでいたため、死亡後物件を明け渡す必要があり、亡くなって間もなく屋内にあった家財を一部処分しております。また残ったゴルフバックや一部の箪笥等については、甲及び乙が保管しております。
家財等は大きな金額でなく、処分しなければ物件の明け渡しをすることもできないことを考えると、これらの行為は民法921条但書の保存行為の一環として考えてよいかと思います。
甲及び乙に対するアドバイスとしては、手元にある残った動産や処分したことによる少額の金銭は、自らのものと別に分けて保管し、処分などをしないようにということかと思いますがいかがでしょうか?
③家庭裁判所による照会について
相続放棄後の家庭裁判所から照会書が届き、それについて相続放棄の理由等を回答することになるかと思いますが、回答書において単純承認に該当する事実(処分、隠匿、消費)はないと回答すれば、家庭裁判所による実質的な調査はないと考えますがいかがでしょうか?
