社員をキャリアダウンする仕組みが会社の不利益になる可能性

◯事案の概要

自発的に考えない社員をキャリアダウンする仕組みを作ることは会社側の不利益になる可能性があるか

◯相談内容

クライアントからの相談ではなく、自分の事務所のサービスメニューなのですが、「自分の頭で考える社員を育てるノウハウ」を提供したいと考えております。このメソッドでは考えるということをしない従業員をキャリアダウンさせる仕組みの環境整備が必要なので、何らか提案するつもりでおります。

降職・降格の基準を就業規則なり会社規定集に盛り込むことは、労働争議上で何か会社側の不利益になったりしてしまうものなのでしょうか。

調べた限りでは企業の自由裁量の筈ですので、新入社員には当初設定賃金から減額の可能性がある事を契約書へ記載した上で説明し、既存社員には説明会等によるフォローを実施した上で、上述の文書類へ社内ルールとして明確な基準を示す等すれば問題はない、と考えています。

ですが、自分自身がこれまで複数業種に就業した経験の中で実例を一度も目にした事が無いため、実務上で何か避けるべき理由があるのかと不安になっております。
クライアントへ妙な提案をして迷惑を掛けたくないので、お手数ですが、是非についてご教示ください。

◯菰田弁護士の回答

人事考課制度に基づいて適正に評価され、その結果として減給や降格になることはあり得ますので、これは労基法に反することではありません。

ただ、注意点としては、適正かつ合理的な人事考課制度になっており、減給や降格になる理由が合理的に説明できないと、不適切な人事考課に基づく減給・降格として、懲戒処分と評価されて違法になる場合もあることです。なので、きっちり人事考課制度を作りこまなくてはなりませんね。そして、これが周知されていれば問題ありません。

あとは「自分の頭で考えられない人」=「減給・降格」という流れにした場合の従業員の反応ですね。従業員としても何も考えていないわけではなく、本人なりにいろいろと考えて動いているつもりの人が多いかと思います。しかし、その考えるレベルや深さが経営者のニーズに沿うレベルじゃないことが多いでしょう。

もちろん、これができる従業員ばかりになればそれは極めて良いことだと思いますが、「減給・降格」という罰を用いて考えさせるというのは、私はちょっと違和感があります。

「考える」という作業は、本人の意識が高まり、今までよりも視野が広がって俯瞰的に業務を見られるようになって初めて行えるようになる作業でしょう。つまり、「考えないと減給になるから、それが嫌なら考えなさい」という仕組みで経営者が望むレベルの「考える社員」というものはなかなか育たないのでは、という感覚です。

すみません、ご質問の趣旨から逸れるでしょうし、余計なことかもしれませんが、感じたことを書かせていただきました。

◯その後の相談内容

お忙しい中、有難うございました。貴重なご意見まで頂けて嬉しい限りです。

菰田先生のおっしゃることも大変よく解ります。罰を与えるという最も低レベルな体制を以って理想を実現させる事を、私としても正しいと考えているわけではなく、実体験に基づいた選択なのです。

意識の高い人間には見合った報酬が与えられ、そうでない人間は相応しい待遇に調整できる、どうしてもそういう、正しい環境を整えられる仕組みを作りたいのです。
とはいえ、他に方法があるかもしれませんし、リスクが高いことは間違いないので、更に色々と検討してみます。

◯横須賀の回答

蛇足かもしれませんが、組織ってもっと複雑な要素があると思います。

・法律的なもの
・評価制度、昇給制度
・社長の考え、理念、ビジョン
・コミュニケーション、文化

コンサルタント自身がどう考えようが、基本的には経営者のスタンスが強く現れるものです。俯瞰してみて、様々な視点から考えることが組織運営については重要かと思います。