株式会社設立の発起人だが所有する株を名義株にしたい

◯事案の概要

株式会社設立の発起人の一部が自分たちが所有する株を名義株にしたいと考えている。税務上の問題はないということなので、名義株で会社を設立した後に株式譲渡契約書を作成しようと考えている

◯相談内容

株式会社の設立の依頼を受けております。発起人は当初ABCの3名の予定でしたが、ABが、「発起人として自分の名前を出したくない、自分たちの所有株については名義株(仮にD名義とします)としたい」と言っています。

D名義にした後に株式譲渡契約書を作成し、実質株主はABであることを合意したいようです。趣旨としては、その後の会社売却やM&Aの際に、ABが株主であることを売却先(吸収先)に知られたくないが、利益は通常どおり享受したいとのことでした。

税理士事務所に確認したところ、将来ABDの間で揉めなければ名義株とすることに税務上の問題はないとのことでした。そこで先方の希望通り名義株で会社を設立して、その後、株式譲渡契約書を作成しようと考えているのですが、いかがでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

株式譲渡契約書を作成して名義株として処理をすること自体は構いません。唯一の問題点は、名義株である以上、株主であることを会社にも第三者にも対抗できませんので、名義人が他の人に株式を売却してしまえば、株式を失うかもしれないという不安定な状況だという点でしょう。

そこだけは対抗要件として株主名簿の書き換えをしないといけませんので、どうしようもありません。そこが信頼関係で補完され、そのリスクを背負って構わないということであれば、進めて良いと思います。

◯その後の相談内容

M&Aやバイアウトの際に、株式譲渡の契約書が表に出てくることはありませんか?(積極的にそのような契約書があることを話さなければ)その後の会社売却、M&Aの際にABが株主であることを売却先に知られたくないが、利益は通常どおり享受したいとのことです。

◯菰田弁護士の回答

話さないと表に出てくることはないですね。あくまで会社との関係では株主は名義人ですので、この人が適切に対応すれば問題ありません。利益の部分は、名義株主と実質株主(AB)との間の会計上の問題ですので。

◯その後の相談内容

名義株の件は、名義株で設立し、設立日と同日で実質的な株主へ株式譲渡契約(株主名簿の書換はしない)という手続きにしたいと思います。

この場合、株主名簿の書換を行わない以外は、会社法上の手続きに従って(株主総会での承認など)、実質株主への譲渡をすれば問題ないという理解でよろしいでしょうか。

◯菰田弁護士の回答

総会での譲渡承認をすると議事録が残ってしまい、後日のM&Aのときなどに表に出る可能性が出てきます。なので、当事者間で譲渡契約をするだけにしておいた方が良くないですかね?

◯その後の相談内容

譲渡承認請求書や譲渡承認通知書なども作成は省略して、契約書のみということですね?

◯菰田弁護士の回答

そうですね、表に出したくないというニーズを満たすにはそのようになると思います。