上職者に対するパワーハラスメント
◯事案の概要
男性従業員から取締役に対して怒鳴りつけるなどの行為があった場合もパワーハラスメントとなるか
◯相談内容
役員に対する従業員からのパワーハラスメントについて、ご質問させてください。
過去にいろいろなトラブルを起こした関係で、新規開拓の営業を社長直属の部下として勤務をしている社員がいます。本社に異動してから1年となりますが、まったく仕事をしていない状態です。
今回、パソコンを調べたところ、毎日5~8時間程度ゲームをおこなっていること、オークションやギャンブル系のサイト閲覧を1年間で4万回以上業務中に閲覧をしていること等が判明しました。過去に目撃者も多数いたため、口頭による注意は何度もおこなっているようですが、「証拠を出せ」など反発をする、激高をして怒鳴りつけるなどの態度を取っているようです。
今回、上記の件を含め、上司である社長と総務担当の取締役(女性)が立会いの下、注意の文書と日々の営業報告書の提出命令をおこないました。
その場では、今までと同様に激高をして怒鳴りあいになるなどとなりましたが、その場は終わりました。その時に、同席した総務の取締役に対して「取締役は女性だが、役員なのでパワハラにならない」といった発言があったようです。
その日から、取締役の席に近づき大声で怒鳴りつける、給油室などに行った際、後をつけて大声で怒鳴りつけるなどの行為を繰り返したため、取締役は身の危険及び精神的なダメージにより2日ほど出勤ができない状態となりました。
そのため、社長よりパワーハラスメントの行為に該当するようなことをおこなわないよう注意をおこなったところ、本人よりハラスメント対策室に通報として以下のような文書が送られてきました。
- 労働局に確認をしたところ「女性であっても取締役はパワハラの対象者とならない」
- パワハラとならないものにパワハラをおこなったと言いがかりをつけ、指導されることは、私に対するパワハラである
労働局に確認をしましたが、現在、ハラスメント専用の相談窓口開設はしていないとのことなので、おそらく総合労働相談コーナーに電話で確認をしたと思われます。
パワハラは明確に定義づけがされていないと思いますが、円卓会議では「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とされており、労基法のように従業員だけを対象とした定義はなかったと記憶しております。
上記の行為がパワハラに該当するかは、状況等の確認が必要になるため踏み込んだ調査が必要になると思いますが、役員に対するパワハラはそもそも該当とされないのでしょうか?
今回、該当社員を普通解雇とすることが決定しており、会社として争いになった時の理由付けとして、このパワハラ事案を理由の一つとして挙げる予定でおります。
菰田先生が扱われた事例で、役員に対するパワハラの判断事例がありましたらお教えいただければと思います。
