社有車で事故を起こしたときの社内規定について

◯事案の概要

業務中に社有車で事故を起こして修理や保険の使用が必要になったときの社内の規定について

◯相談内容

①会社の車を業務中に使用して事故を起こし、修理や保険の使用が必要になったときの社内の規定についてです。
クライアントの案はこちらです。

  1. 当社(従業員)が悪い事故の場合は車両修理代の内3万円は本人負担 それを超える金額は会社で払う
  2. 事故のペナルティーで保険の免責金額が3万円として本人に負担

上記1、2は、あらかじめ「3万円」と決めていることで、労基法の賠償予定の禁止に抵触すると思いますので、下記のように実際の損害額に応じ割合を決めておいて負担してもらうというのはいかがでしょうか。

例えば

  • 当社(従業員)に過失のある場合 損害額(車両修理代等)に応じ負担すること(ただし上限3万円)
  • 2のペナルティは設けない、設けたい場合は1の上限額を増やす(例:上限6万円など)

また、上記に追加して

  • 故意または重大な過失、違法行為があったとき 全額負担
  • 業務外の用途での使用していたときに起きた場合:全額負担

②賞与の査定についてですが、始末書一枚ごとに賞与の査定から1万円引くことを考えているようです。上記は、賞与とはいえ賠償予定の禁止に抵触する可能性もあると思います。

そこで、就業規則等へ記載するときは「賞与を決定する際に評価の対象とする」場合があるに留めておき、賞与を決定する前の評価基準として内規で始末書1枚につき1万円としておくことは問題ないでしょうか?

◯菰田弁護士の回答

②について

賞与は、各会社の規定の仕方にもよりますが、多くの会社は支給自体を会社の裁量に委ねて場合によっては不支給とすることも可能な立て付けにしているでしょうから、賞与からの差し引きが賠償予定の禁止に該当するかは微妙なところだと思います。

ただ、おっしゃるとおり解釈の余地はあると思いますので、あえてお客様案のようなリスクのある記載をすることは避けた方がいいしょう。

そもそも賞与の具体的な査定方法については就業規則に明記を求められない事項ですので、「業績等に応じて決める」といった一般的な記載で足りると思いますが、始末書について触れる必要性があるのであれば、先生のおっしゃる通り「評価の対象となる」限度で記載する形で問題ないと思います。

①について

まず前提として、損害賠償額の予定というのは、従業員保護のために定められているものです。

ですので、金額を決めていればNGという杓子定規な話ではなく、従業員が賠償すべき損害額がいくらになるか分からない状況で、本来行うべき損害賠償よりも多額の損害賠償を行う可能性が出てくると、従業員保護に欠けるから、禁止されているものです。

だとすれば、今回の件は、3万円を超えて損害が生じても3万円、実損が2万円なら2万円となる定め方ですから、従業員としては本来負うべき損害賠償額より多く払わなくてはならない場面が発生しません。そうなると、損害賠償額の予定を禁止した法の趣旨には反しませんので、私は問題ないと思います。

ただ、会社が従業員の運転で利益を得ているのも事実ですので、損害額のうちどこまでを従業員が負担すべきかは別問題ですから、それを超えなければ良いでしょう。

つまり、今の定め方だと、修理費が2万円の場合には、修理費全額を従業員が負担することになっていますので、別の観点から不当だと思います。そのため、「損害額の3割を従業員負担として、その負担額上限を3万円とする」などの定め方が適切かと思います。

そして、飲酒や業務外使用など、業務と関連性がない場合には、全額負担させることに問題はないと思いますよ。