役員の選任及び解任の登記を錯誤を理由として抹消したい

◯事案の概要

臨時株主総会及び取締役会と臨時株主総会の決議が不存在であるとの判決にもとづき、役員の選任及び解任の登記を錯誤を理由として抹消したいと考えているが、実体の法律関係はどのように考えるべきか

◯相談内容

ある会社で、株式譲渡によって株式が移転しているかどうかについて争いがあり、株式を譲渡した株主Aが新役員を選任し、譲渡を受けた株主B側の役員が解任されたため、株主Bが、B側の役員の地位確認を求めて訴訟を提起しました。

Bは、A側の役員らに職務執行停止の仮処分を求めましたが、それが認められ、職務執行停止が登記されました。その翌年、Bは地方裁判所にB側役員の地位確認を提起し、第1審判決は主文で、臨時株主総会及び取締役会と臨時株主総会の決議が不存在であると判決されています。(理由には株式譲渡が有効なため、適切な招集手続きがとられていないためと記載。)現在控訴審の判決待ちの状況です。

ここでBより、控訴審の判決待ちの状況ではあるが、決議が不存在であることの第1審判決はでたのだから、役員の選任及び解任の登記を錯誤で抹消できないかという相談を受けました。抹消登記の可否や抹消の手続きについては法務局と交渉を行いますが、実体の法律関係につき、菰田先生にご質問させて頂ければと存じます。

①当該不存在確認の判決が確定した場合、対世効が生じるという効果はあるものの、決議はそもそも無効であったことから、実体関係としてB側の役員の解任はなく、取締役の地位が続いており、A側の新役員は取締役に就任していなかったということの理解で間違いないでしょうか?

②上記の理解を前提とすると、A側の役員が選任時から職務執行の停止までに行った行為は無効であるが、取引の相手方は表見法理によって保護される、という理解で間違いありませんか?

◯菰田弁護士の回答

はい、①も②も先生のご理解で間違いありません。よく整理されており、論理も正しいと思います。