書類の不足を理由に医療法人設立認可申請が受理されない

◯事案の概要

医療法人設立認可申請の際に書類の不足があり、後日不足書類を提出したにもかかわらず、県からは申請を受理できないので取り下げるように言われている

◯相談内容

個人診療所の医療法人化の医療法人設立認可申請を行いました。医療法人設立認可申請については当該県やほかの都道府県でもおおむね同様ですが、以下の流れになっています。

①申請書の案を決まった期日(期間)までに提出(※その際に県HPには「著しく不足書類がある場合には受理できません」との記載あり)
②事前協議 面談による申請書類の確認
③その後申請書案の担当官との調整・審査 書類の修正
​④上記終了後申請書に押印して、決まった期日までに本申請 

今回は、事前の申請書案の期日までに県に送りましたが、その中に一部不足した資料がありました。そこで、②の面談の際に担当者から「今回の申請は不足書類があるので取り下げてください」との指導を受けました。

この指導を受け、②の事前協議の期間中でもある②の面談の翌日に、不足書類についてはすべて提出しましたが、「翌日に不足書類は揃いはしましたが、とにかく取り下げてください」との県の指導を受けました。

そこで、お聞きしたいことがあります。
①上記の指導はいわゆる行政指導における返戻にあたり、取り下げを明確に拒否すれば、以降の行政指導は継続できないという理解で問題ないでしょうか?
②具体的な方策として、担当官が返戻を指導していても、決まった期日に本申請を行えば、当該申請書類は審議会を経て、認可あるいは不認可という処分が県には義務付けられているという認識でよいでしょうか?
③その他具体的に取りうる方策として、当該行政指導が違法であるとした場合、県の改革推進課や監査課に、当該医療課が違法な行政指導を行っている旨の通報を行う以外の効果が認められる方策がありますか?

◯菰田弁護士の回答

そうですね。要件を満たせば認可は下りるはずですので、何を理由に取り下げを要請して来ているのでしょうね。
先生がおっしゃるとおり、要件を満たしているにも関わらず、取り下げを要請し続けているのであれば、違法な行政指導でしょう。ひとまず、取り下げを求めている理由がイマイチ分かりませんので、そこを明確に聞いてみてください。

そして、やはり行政指導に理由がないとの判断になれば、おっしゃるとおり行政指導に服することを明確に拒否していただき、それ以上の行政指導ができない状況を作りましょう。それでも当方が納得いく対応をしてくれないときは、不服申し立ての流れに進むしか方法がありません。

医療課以外に対して通報を行うことも考えられますが、結局のところ医療課の判断ですので、それほど効果はないでしょう。(もちろん、何もしないよりは良いとは思いますが)おそらく最善は、きっちり弁護士も出した上で、中途半端な手続きをした場合には行政訴訟に進みかねないという危機感を持たせる方法だと思います。